Eric Cloutier

Eric Cloutier

Aron Freidman(Thump)はこう語っている。 「去年の12月にベルリンにいたとき、週末だけで20人くらいのDJを聴いた。でも本当に記憶に残ったのはただ一人、Eric Cloutierだった。彼のサウンドはダークでありながら温かく、安定していながらもダイナミック。テクノでありながらハウスでもあり、独創的で強く惹きつけられるものだった。」 Eric Cloutierの姿勢は、SNS時代以前の価値観――“音楽に語らせる”という信念を体現している。20年以上にわたるキャリアは、DJとしての誠実さとセレクターとしての確かな審美眼によって築かれてきたものだ。自らを「レコードディグの狂人」と称する彼は、Driftwood Recordsのレア音源を惜しみなく織り交ぜたミックスからも分かるように、理想の選曲を追い求めるためなら労力を一切惜しまない。 その本質は、温かくダビーで催眠的なハウス/テクノへの強い情熱と執着にある。そして彼の真価は、ダンスミュージックの過去と未来をなめらかにつなぐ、その卓越したバランス感覚にある。 デトロイト出身でありながら、そのルーツに安易に依存しない点も彼の特徴だ。20代でニューヨークへ移り、The Bunkerの常連として活動する中で、“身体性”に根ざした独自のスタイルをさらに研ぎ澄ませていった。現在はベルリンを拠点に、ディープなローカル空間から世界最高峰のクラブまで幅広くプレイし、その確かな技術と存在感はますます評価を高めている。 近年はプロデューサーとしての活動も充実しており、自身のレーベル〈Palinoia〉を設立。これはギリシャ語で「ある行為を完成に至るまで執拗に繰り返すこと」を意味する。レーベルは彼の進化する音楽性の拠点となり、滑らかでダビーなクラブトラックを自身のセットに組み込むと同時に、彼が発掘した才能あるアーティストたちにも光を当てている。 彼にとって何よりも重要なのは“クオリティ”。その一点にすべてが集約されている。